子供たちにとって”噛む”ことは、顎の成長をうながす重要な役割を担っています。一方で食の多様化・軟食化によって今の子ども達は噛む機会を奪われ、顎も適切な大きさに育ちにくくなっています。顎が十分に育たないと、当然ながら歯が正しい位置に並びきれなくなりますから、結果としてデコボコした歯並びになってしまうわけです。
歯の大きさに対して顎が小さい場合、従来の矯正治療では歯を抜くなどしてスペースをつくり、歯に人工的な力を加えて歯並びを整えます。ある意味”力技”で歯を並べていくわけですから、そこに無理が生じると治療後の「後戻り」といった不具合も起こりやすくなります。
しかし子供の場合は骨もまだ軟らかいため、歯の大きさにあわせて顎の形や大きさを変えることができます。”顎の大ききさや形を変える”と聞くとこちらも不自然に感じる方も多いでしょうが、その方法はいたってシンプルです。たとえば食事を改善して「しっかり噛ませる」ことも一定の効果がありますし、舌や頬、唇などお口の周りの筋肉を鍛えることもよい効果をもたらします。つまり子供の歯並びは、もともと持っているはずの機能を正常に働かせてあげれば、歯に特別な力を加えなくてもキレイに並べることができるのです。
このように子供の矯正治療では歯並びを悪くする根本の原因にアプローチできるため、治療後の後戻りも少なくなります。ではそれを可能にする装置について、次項から詳しくご紹介します。
「プレオルソ」は3~10歳ごろのお子さんを対象に、歯並びを改善するマウスピース型の矯正装置です。この装置は歯を直接動かすのではなく、歯並びを悪くする原因を取り除き、舌や頬、唇から受ける力のバランスを正常に戻して歯並びを改善していきます。
1本の歯は、それに「隣接する歯」と「噛み合わせる歯」、さらに「舌」「頬」「唇」の多方面から力を受けてその場所に位置しています。しかし何らかの原因でこれらの力のバランスが崩れてしまうと、歯はあらぬ方向へと動いてしまうのです。
プレオルソは口周りの筋肉を訓練しながら崩れた力のバランスを正常に戻すことで、歯を本来あるべき位置へと導いていきます。
プレオルソは以下のようなケースに適用できます。
プレオルソには、従来の矯正装置にはない特徴があります。
一般的な固定式の装置は治療が終わるまで外すことができませんが、プレオルソは自身で取り外しが可能です。お子さんの日常生活における負担も少なく、またお口のケアも普段どおりに行えます。
プレオルソは基本的に「日中1時間」と「就寝時」のみの装着となります。学校や習い事などの際に装置を持参する必要もなく、日常生活への影響もほとんどありません。
プレオルソは歯並びが悪くなる根本の原因を取り除くため、治療が終わってから”後戻り”するリスクが少なくなります。
プレオルソ治療終了後は、歯を正しい位置へ導くお口の環境が整います。これにより以後に新しく矯正治療が必要となった場合でも、治療がスムーズに進めやすいほか、治療期間も短縮されます。さらに成人になって一から矯正を始めるよりも、矯正にかかる費用も抑えられます。
床矯正は顎のスペースを広げながら歯並びを整える、取り外し式の矯正装置です。
歯並びが乱れる原因の多くは、歯の大きさに対して顎のスペースが少ないことにあります。たとえるなら、4人掛けのベンチに5,6人が無理に座っているのと同じ状態です。
この状態を解決するためには、座る人を減らすか、ベンチ自体を大きくするかのいずれかです。床矯正は後者、つまり顎の成長をうながしながら、歯が並ぶスペースを作ってあげることを目的に使用します。
ベンチを大きくすると座りたい人がみな座れるように、顎のスペースを大きくすれば今あるすべての歯を並べられます。当院の小児矯正では、このような”極力歯を抜かない治療”を皆さんにおすすめしています。
「急速拡大装置」は上顎に装着する固定式の矯正装置で、顎の大きさを広げる際に使用します。
上顎は左右の2つの骨からなり、これらが「正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいほうごう)」という”つなぎ目”でつながっています。子供の場合はこのつなぎ目がまだ完全でないため、装置でつなぎ目を広げて上顎全体を大きくすると、歯が並ぶスペースを確保できます。
さらにこの装置には「鼻呼吸をうながす」という効果も期待できます。”口呼吸”を”鼻呼吸”に改善すると、次のようなメリットがあります。
・喘息(ぜんそく)の改善
・アトピー性皮膚炎の改善
・アレルギー性鼻炎の改善
・いびきの改善
・睡眠時無呼吸の改善
・咀嚼機能の改善
・学習能力向上の可能性
「マルチファミリー」はマウスピース型の矯正装置で、5~13歳ごろのお子さんを対象に使用していきます。
治療の仕組みは上記の「プレオルソ」と同様に、口周囲の筋肉をトレーニングしながら、歯並びを自然な状態に整えていきます。装置は日中2時間ほどと、就寝中に装着していただきます。
以上にご紹介した「顎の成長をうながすトレーニング」とその「補助装置」には、治療のスピードをアップさせるほか、治療後の「後戻り」を防止する効果があります。
当院でほかにも、治療の精度を高める取り組みやお子さんに楽しく通院していただく取り組みを行っています。
当院には日本矯正歯科学会の「有資格者」が在籍しています。より高い知識と技術を有した専門医が治療を担当いたしますので、安心して治療を受けていただけます。
当院では矯正治療の精度を高めるうえで欠かせない「セファロシステム」を導入しています。
セファロとは通常のレントゲンよりもさらに矯正治療に特化したレントゲンです。セファロデータを専門医が多角的に分析し、精度の高い治療計画を立案します。
子供の矯正治療の開始時期については、個々のお子さんで適切なタイミングが異なります。インターネットなどでは「〇歳から〇歳の間が最適」という情報をよく目にしますが、これはあくまで”一般的な目安”に過ぎなことを理解しておきましょう。
そのお子さんがどの時期に治療をはじめるのがベストなのかについては、実際にお口の中を拝見し、必要な診査・診断を行わないと予測できない点も多くあります。
したがって
「矯正の相談に行く=治療しなければならない」
ではなく、
「子供のお口の成長の変化は適切かどうかを聞きに行く」
という意識で、うまく歯科医院をご利用していただければと思います。お子さんの歯並びが気になったら、お気軽にご相談ください。
大人と子供では、矯正治療のアプローチの方法が異なります。
すでに骨格や歯並びが完成している大人の場合、顎の大きさや形にあわせて歯を動かしながら歯並びを整えていきます。そのためスペースが不足する場合は抜歯したり、顎の上下の位置関係については”外科治療”が必要になったりと、治療による負担も大きくなります。
一方でまだ発育途中にある子供の場合は、骨の成長をコントロールすることが可能です。スペースが不足する場合は顎を広げたり、反対に顎が大きすぎる場合には成長を抑えたりすることで、無理なく歯を並べることができます。また上下の顎の大きさやバランスが整うことで、顔貌も美しく理想的な形に仕上がります。小児矯正にはほかにも、以下のようなメリットがあります。
子どもの矯正治療は、”歯を抜かないこと”が大原則です。まだ発育途中にある子供の場合は、骨の成長をうながしながら歯を並べるスペースを確保することができます。これにより歯を抜かずに治療ができる可能性が高まります。
歯並びの問題は、成長してからの”心理面”にも及んでいきます。とくに多感な思春期に入ると、人前で話すのを恥ずかしく感じたり、周囲の心ない一言に傷ついてしまったりすることも少なくありません。早い時期から矯正治療をはじめておくことは心の成長にもプラス面が多く、心理的なコンプレックスからも解放されます。
”歯並び”と”顔の形”は関係が深く、歯並びが整うといわゆる「かっこいい」「きれい」な顔貌になります。
デコボコした歯並びは汚れが溜まりやすく、さらに磨き残しも多くなります。このため通常よりも虫歯になるリスクはもとより、成人してからは歯周病になるリスクも高くなります。虫歯と歯周病は歯を失う原因のおよそ7割を占める疾患ですので、”自分の歯を守る”という点においても、早い時期に歯並びを治しておくことは非常に重要です。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私達にお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせお問い合わせください。